プロ格闘家が行うような減量はどれぐらい辛いのでしょうか?
辛いとは聞くものの、実際に体験をしたことがないので、ピンと来ない方も多いでしょう。
そこで本項では、元プロ格闘家の筆者が格闘家の減量の辛さについて解説します
減量、体重を落として自分に見合った階級で戦う戦略の1つです。
しかし減量は過酷で、体重が落とせず試合ができなかったり、ときには命を落としてしまったりするケースも後を絶ちません。
ではどうして、そんな過酷な減量をしてまでも、体重を落とさねばならないのでしょうか?
元プロ格闘技選手である筆者が減量をする理由と、その過酷さを紹介していきます。
減量をする理由
体格差を生かして、有利に試合を進めるためです
格闘技では、体が大きい方が有利とされています。
同時に手を出しても先に当たるのは、体が大きな背の高い選手です。
単純に実力が同じであれば、体が大きな選手の方が有利です。
プロの世界は、結果が全ての過酷な世界。
誰でも手に入れられる体格差のというアドバンテージのために、減量に取り組みんでいます。
減量の方法
減量は大きく分けて3つの時期に分けられます。
- 体脂肪を減らす 試合の1~2カ月前
- 食べ物の量を減らす 試合の1週間前
- 水分を抜く 計量の前日
体脂肪を減らす 試合の1~2カ月前
減量は試合の1~2カ月前から始めます
減量を開始したばかりのときは、脂質や糖質を少なくし、体脂肪を落としていきます。
低脂肪、高たんぱくの食生活が中心で鶏むね肉や野菜などがメインです。
食事制限のほかには、有酸素運動も取り入れていきます。
普段の練習+ランニング30分 こんなメニューを試合の1週間前まで続けていきます。
ラーメンや揚げ物など、脂っこいものが無性に食べたくなる…
食べ物や塩分の量を減らす 計量の1週間前
計量の1週間になると、さらに体重を落としていきます。、
食べ物の重さに気を配ります
食べ物の重さ?
例えば、1ℓの水を飲んだあとに体重を量ると、体重は1kg増えています。
当たり前の話ですが、食べたら食べた分だけ体重は増えるのです。
つまり水を1ℓ飲んだら1kg増える、米を1kg食べても1kg増えることになります。
ならばより1kgの方を飲んでお腹が満たされないよりも、500gのご飯を食べてお腹を満たしたほうがよいという考え方です。
これが食べ物の重さを量るということです
また、この時期の減量では、塩分量もカットしていきます。
塩分が多いと、体には水分が貯まりやすくなり、水太りを起こしやすい状態になります。
結果、体重は落ちにくくなり、減量がはかどりません。
食べ物自体の重さと塩分量を少なくするのが、この時期の減量なのです。
水分を抜く 計量の前日
最期は、水抜きやドライアウトと呼ばれる作業です。
これがマジできつい…。
水抜きとは大量の汗をかくことで、体重を大幅に落とす作業のことです
計量の12~24時間前に開始し、飲まず食わずで汗を出します。
汗を出す方法は、人様々ですが以下のような方法が挙げられます。
- サウナスーツを着て動く
- サウナに閉じこもる
- 半身浴で落とす
2~3時間もすると、3~5kgぐらい体重が落ちています。
汗だけでそんなに出るの?
それが出るんです…
と思う方もいるでしょうが、人間の約70%は水でできています。
私たち人間の体は、胎児で体重の約90パーセント、新生児で約75パーセント、子どもで約70パーセント、成人では約60〜65パーセント、老人では50〜55パーセントが水で満たされています。
引用:SUNTORY/水大辞典
体重60kgの選手だと
60×0.7=42(kg)
つまり42kgは水分でできている計算になり、汗をかくだけでも十分に体重を落とせる計算になります。
筆者は過去に最高で4kg落としたことがあります…
マジで〇ぬかと思いました…
どんな感じだったの?
ふじの場合はこんな感じ!
真夏にサウナスーツ上下2枚着て、ストーブを炊いた部屋でひらすら動いてました
最初は汗が出るのでいいですが、徐々に汗も出なくなるし、疲れて動けなくなってきます
それでも汗をかかないといけないから、動かないといけない
頭はフラフラするし、口の中はカラカラ
一滴でいいから水が飲みたい…でも水が飲めない
水が飲めないって本当に辛い…
そして水が飲めるのは、翌日の計量が終わってからです。
計量後に飲む水が、まあ美味しいこと
水が自由に飲める国で生きていてよかったと、心から思う瞬間です。
水抜きは極めて過酷な作業ですが、こんな過酷な作業ができるのも、計量を前日に終わらせるからです。
当日計量の競技はせず、絶対にすべきではないと思います。
減量をするとしても無理なく落とせる範囲にとどめるようにしましょう。
まとめ
プロ格闘家が実際に行う減量について紹介しました。
減量は命を削るような、本当に辛い作業です。
そんな過酷な作業をしても試合ができるのは、試合までに体力を回復させる時間があるからできることです。
プロの試合は前日計量で行われます。
当日計量をするような競技では、水抜きをするような過酷な減量は絶対に控えるようにしましょう。
柔術はあくまで、ひとつの趣味として取り組むことを強くおすすめします
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